「これってDVなんですか?」
数年前から仕事の一環で女性支援をしています。
女性支援といってもいろいろありますが、DV被害者の支援もその一つ。
DV被害を受けた女性が避難できるところを「シェルター」といいますが、行政がやっているところは一時避難所と呼ばれてます。ここが見事な水際作戦で、支援者と被害者の気持ちを萎えさせるんですよね。二次被害もしょっちゅう。
私がかかわった事案で、夫婦げんかの延長上に起きた暴行というのがありました。奥さんは離婚を希望、夫が帰ってくる前に家を出たいと言われましたので、住むところが決まるまでの間一時保護所への入所をご案内しました。
そこで一時保護所の職員からかえってきた言葉が「これってDVなんですか?」
え~~~?
どいうこと???
どうやら言いたかったのは、
「単なる夫婦げんかで手が出ただけじゃないの?」
「家にいても安全なんじゃないの?」
「本当に保護しなきゃいけないの?」
というところらしい。
もしそうだと判断して家に帰して、ケンカ再発して勢いで殺傷事件とかにならない保証があるのかな?どうしてそこまで言い切れる?確かに、その可能性は少ないと思うけど、絶対じゃない。
職員の発言のニュアンスから思うに、一時保護所には相当深刻な、明日にも殺されそうな人しか行っちゃいけないのかな?
入所措置要件にはそんなことは書いてないと思うんですが...
というか、そんな情報絶対外に出さないし...
自分たちで情報を独り占めして、「こういうことで入所できません」という説明はせずに、「本当に必要なんですか?」という意味合いのことを、いろんな疑問文で聞いてきて、こっちに「じゃあもういいです」と言わせたいのがみえみえ。
被害者や民間の支援者は、だいたいここで諦めますよね。
残念ながら、利用者側に立って対応できる福祉職員って少ないのですよ。私も意識して利用者に寄り添ってと思ってますが、気を抜くと利用者より行政ルールを優先してしまいかねない「習慣的な考え方」がうっかり出てきます。
なぜなら、今の福祉行政を回している多くは「一般行政職員」で福祉の専門家ではないのです。大学で3科目社会福祉系の教養科目を履修してれば「なんちゃって社会福祉主事」になれる仕組みがそもそもおかしかろ?
もし、ひとりで福祉事務所と交渉するなら、あきらめない心が必要です。怒らず、消沈せず、粘り強くやるしかないです。
もし、身近に福祉行政に身を置いたことがある人がいれば、一緒に行ってもらうと結果が変わることもあるかも...
ポイントは、行政が決定するときの審査基準に関する情報を引き出す質問ができるかどうかです。