生活保護は他法優先

生活保護の相談に来られる方にまずお話しするのは、申請の意思があれば申請できますということ、そして生活保護は他のあらゆる制度や援助を尽くしても最低生活費に満たないときに不足分を支給するしくみですということ。

 

最近、60歳前後の方の相談が増えています。なぜかはわかりませんが増えてます。仕事をしていたがけがや病気で働けなくなったという相談を受けると、まず仕事がらみでもらえるお金がないかということを聞きます。

 

例えば、退職金、傷病手当金、失業給付など。大企業では求職中も給与の何割かが支払われるところもありますが、中小零細企業では働いた時間に応じた給与支払いになっているところが多いですね。

 

もし、けがや病気でなにがしかの給付を受けられるのであれば、保護を受けないほうが手元に残るお金が多いというケースもあります。

 

後々傷病手当金がもらえるようになったら、すでに支給した保護費を返還してもらうこともあります。保護でなければ高額療養費制度で、本人負担分が限度額まで抑えられますが、保護になるとその制度が使えず満額保護費となることも。せっかくもらった手当金を全額返還しなければいけないということもあります。

 

生活保護以外の方法を提案する際には、どちらが本人にとって利益が大きいかを必ず比較して、保護を受けると不利益になるかもしれないと説明しますが、残念ながら受けさせたくないだけだろうと誤解される場合も。私たちって信用されてないですね。

 

私たち行政職員は法の執行者ですが、法律どうりにやるのではなく法律の範囲で何がその人にとって最も良い、最も望まれていることなのかを見極めながら現場に落とし込んでいく必要があります。でなければ法と生活の橋渡しはできません。