公務員の価値観

公務員生活も30年目に突入して、ようやくわかることもあります。

 

それは、いろんな分野でいろんな視点に立って仕事をして、共通する価値観です。

 

言い方はイマイチですが一番よく口に上るのは「問題なし」という言葉。「適正」という意味なのですが、いろんな角度から見て問題がないことが大切なようです。

 

若いときは、多少間違っていても成果をあげればいいじゃんと思っていたこともありましたが、なんせ、公務員はちょっとの間違いでもやり玉に挙げられることがあるので、やはり間違った方法で成果をあげてもダメなんですよね。

 

災害があるたびに、行政が悪い、行政の責任と言われますが、行政は前例や過去の実績から「問題なし」と判断してやっていることが多いので、想定外の災害には対応できてないことが多いです。そして想定外の災害に対応するには、執行部(いわゆる公務員)と議会(いわゆる政治家)のどちらにも先見の明のある人が複数必要ですが、今の公務員と政治家の選び方にそういう視点はありません、残念ながら。

 

また、行政の対応方針が「公平」「公正」である以上、「迅速」にはできません。被害の全容が見えないと対応すべき線引き(この言い方も嫌いですが、公平にするためには必要)ができないのです。日頃、「問題なし」の価値観で仕事している人に非常時だから特別な対応をしろといわれても、やはりそれで「問題なし」なのかを確認する癖が発動しますよ。

 

災害時の対応が得意なのは、イベント業務をやったことのある公務員です。イベントは非常時ですから、本番で「問題なし」を発動させていては問題続出です。目の前のトラブル、クレームをどう治めてゴールに向かうか、災害対応とイベントには同質のものがあります。そういう柔軟なリーダーがいる公務員チームは災害時に活躍します。残念ながらそういうリーダーは少ないですけどね。

 

コストをかけずに災害に強い日本にする方法として、公務員の質の転換はあると思います。